『木を植えましょう』
       ここではこれから造園を計画なさる皆様へ樹種       
             ごとの説明や流通事情、だいたいの相場など、
       業者感覚なお話などを記していきたいと思います。 
 
 

 
 
 
 
  


 
ヤマボウシ(ヤマグワ)
今ではずいぶんポピュラーな品種となりました。一昔前に大ブームとなって以来、当時こぞって生産されたものが今はずいぶん大きくなっており品数もじゅうぶんにある感がします。大きいサイズが欲しい向きには選択肢に加えてもよいでしょう。ミズキ科の樹木はカンカン照りに弱く、午前中いっぱい陽に当れば充分生長します。自然に樹形は整いますが、長年放置しますと大きな塊りの如くなりますから当初より小まめな手入れは欠かさない方がいいでしょう。写真は5m級で8~9万円くらいです。
【観察適地】愛知県緑化センター
ヤマボウシ(ヤマグワ)
上の個体よりひとまわり幹周が細いです。高さはそれほど変わりませんのでお買い得なのかも知れません。5m級:6~7万円です。
 
サトミヤマボウシ
いわゆるヤマボウシの園芸改良品種です。原種ヤマボウシの花は白ですが、これは少し濃い目の桃色花弁の持ち主です。ハナミズキのピンク花を想像して貰うと良いと思います。ハナミズキの場合、日陰や中庸では良い花色が出ませんが、むしろこのサトミはその様な環境を好みますので植栽条件に合わせて選択肢に入れると良いかと思います。価格帯は原種よりも若干高めで、且つ写真の様な株立樹はまた高めに取引きされています。
4m級:9万円程度
 
サトミヤマボウシ
単木のサトミです。余談ですが良い植木選びとは、下枝(最下段の枝)が太く発達しており、全体に小枝が密集し節間(芽と芽の間)が間延びしていない個体を選ぶ事です。そういう意味でこの個体は注目度が高く、競り人が多くて高値を呼びましたが、まあまあのところで無事に落とす事が出来ました。岐阜のお客様の庭に入れましたが大層気に入って戴けました、良かったです。
5m:13万円
ハナミズキ
一大ブームは去ったものの依然として根強い支持のある樹種です。ですが生産者や私たちにとっては悩み多き樹種でもあります。この樹の原産はアメリカ北部ですが日本との国土、風土の違いがネックになっている気がします。米国の年間降雨量は低く地下、地上とも平均して低湿ですから日本の様な高湿/低湿を繰り返す気候には合わないのだろうと考えています。ですからこの樹種を移植/植栽するのでしたら出来るだけ細い苗から始める事と植栽地が的確か否か、よくよく環境を整えて決める事だと思います。写真のモノくらいまでが無難だと思います。
2.7m:5万円
【観察適地】日進はなみずき通り
愛知県緑化センター
カツラ
カツラは強靭な樹種です。移植や剪定によく耐えるのは良いのですが、本当に大きくなります。ですから植える場所はよく考えてやるべきです。あまり病害虫で困った経験はないのですが、カイガラムシだけはしつこいので防除対策が必要です。写真は4m級で7~8万円くらい 
【観察適地】愛知県緑化センター
高尾モミジ(イロハ)
日本の風景を代表する樹といえば恐らく『イロハモミジ』でしょう。当方も一番多く移植した樹種です。ですがよほどしっかりとした工程をしないと樹冠から枯れ込みを起こし易い樹種でもあります。移植する際、根を切り新根を出させる事を『根廻し』と言いますがこの樹種の場合は必須です。次に土壌造りを綿密に計画せねばならず『通気性・排水性・保水性・保肥性』をクリアしていなければなりません。最後に植え付け後の灌水においてはこの樹種は特に重要で、これを怠ると翌年無残な姿を見る事になりますからなるべく専門家に依頼した方が賢明でしょう。写真は5m超、13万円でした。
【観察適地】愛知県緑化センター
高尾モミジ(イロハ)
こちらもイロハモミジの大木です。幹径は根元で28㎝、掘り上げた根鉢は直径175㎝高さ90㎝になります。写真のものは8mで30万円でしたが、これだけのモノを移植するには足掛け2年の根廻し期間は必要で、移送と植付工事でおよそ同額程度が掛かります。公園、美術館、商業施設向けでしょう。
ヤマモミジ
カエデ科はツツジ科、バラ科等に次いで種類の多いグループです。有名な『伊呂波』に次ぐのが『ヤマモミジ・オオヤマモミジ』でしょう。葉の烈片がイロハよりも少なく、5ないし6片です。また鋸歯(葉の外縁にあるギザギザ部分)も粗く大きいのが特徴です。印象としてイロハよりも枝の立ち方がより直線的で全体に大柄な印象を与えます。写真は6m級で14万円でした。
【観察適地】愛知県緑化センター
ヨーロッパナラ
 『ナラ』の名が付いていますが葉を見ますと日本のカシワ、ミズナラにそっくりで樹形は直立型ですので日本のブナ科コナラ属の放射型とは違いますので『遠~い親戚』と云えそうです。長所は狭い場所でも植栽でき、落葉季には黄金色に変化する点です。5m~:6万円~
クスノキ
常緑樹の王様、『クスノキ』です。私感で申し訳ありませんが、この樹ほど霊的な感覚を与える樹はないと感じます。この樹は内部には樟脳成分があり葉を介して外部に蒸散させていますから何もせずとも害虫忌避している事になります。クスノキの発根性は良好なので移植の活着率は良い方ですが、一点、風害にすこぶる弱く大気の湿度と相談しながらでないと下手すれば枝ごと枯らしてしまいます。ですから地上部は思い切り強く刈り込んで、場合によっては葉を全撤去した上で時季を選んで移植します。もう一点、この樹は大木になりますから原則的には公園、施設向けですが毎年、小まめな手入れをする条件を理解した上で庭に植える一般のご家庭もあります。写真はだいたい5m級で10万円~
ケヤキ
 ここで紹介しておいてなんですが、この樹は一般のご家庭には決して植えないでください。皆様、写真を見ておそらく『美しい姿の樹だな』と感じられるとは思いますが、それは枝を切り詰めていない自然形だからそう感じるのであって、今だ嘗て切り詰めた樹で、美しいと感じるケヤキに出会った事はありません。写真はまだまだ若木の部類であってこれから先、どんどんと高く、横に広がっていきます。この樹こそ公共施設用の種類です。
【観察適地】愛知県緑化センター
ナンキンハゼ
独特の幹のうねり方、細かく曲がりながら伸びる枝の姿、玄人好みする『ナンキンハゼ』です。こんな姿の樹種ですから好き嫌いは分かれるでしょう。長所は葉の形がハート型をしており、明るい緑色で秋には素晴らしい深紅の紅葉が見られ、冬には可愛い白い実を生らすおまけ付きです。ですが移植後の生長力はあまり旺盛とは云えず強めの剪定で覚醒させないと充分な萌芽が見込めません。毎年、手入れをする必要性を理解した上で植栽するのならとても良い樹です。写真は5mで4万円、わりと安価な部類です。 
【観察適地】守山小幡緑地
愛知県緑化センター
ナンキンハゼ
この樹種はよほど木がお好きな方でないと知らないとおもいます。事実、街路樹や公園樹、工場などの緑化樹に植えるくらいですので当方も一般の庭園に植えた事はありません。ですが、そういった樹でも庭園に用いる案件は多いわけですから『ナンキンハゼ』もなんら支障があるわけではありません。 先にご紹介した様にとても利点の多い樹ですのである程度の本数を植えるのでしたら候補に入れるのも良いでしょう。現在、稲沢周辺では手頃な高さのものが少なくなっていて7m級あたりのものをよく見掛けます。
7m~:9万円~ 
クマシデ
カバノキ科の仲間『クマシデ』です。 幹肌が熊の様に黒いのでそう呼ばれます。このシデ属の仲間にアカシデ、イヌシデ等があります。いずれも一様に人気のある樹種で、このクマシデの花序はホップに似ていてとても興味深いです。葉も鮮やかな緑で鑑賞価値も高く、引き合いが多いのも肯けます。このシデ属は中庸樹で強い陽ざしを嫌いますので植栽地は充分検討する必要があります。イヌシデ、アカシデはわりと流通量はありますがクマシデはそれほどは出て来ません。写真は3mで10万円でした。 
ザイフリボク
 ザイフリボク(ジューンベリー)はアメリカ産と日本産があります。皆様がよくご存知なのはアメリカジューンベリーだと思います。たまに『この樹をシンボルツリーにどうか』と尋ねられますが、『よしましょう』とお伝えします。この樹は勢力を付けてくると地際からヤゴを立ち上げ易く、また分枝の仕方に不規則性が強いため整姿するのに難儀します。俗に言う『枝が暴れる』と云うヤツです。造園流儀から云って『添え』が妥当でしょう。4m級:4~7万円
【観察適地】愛知県緑化センター
トウカエデ
 この樹も暑さ寒さに強く、剪定にもよく耐える事から街路樹によく使われます。カエデ科のくせに直立性が強くイロハなどとは立ち姿がまったく違います。ハナノキやメグスリノキに近いと思います。ですが紅葉が素晴らしいのはさすがにカエデ科の仲間で、生長した固体のそれは実に見事です。枝間がわりと蜜に繁り易いですから上手に剪定をして立ち姿をよくすれば良い庭園樹になってくれると思います。またこの樹種には改良品種として『ハナチルサト』があります。俗に七変化の樹とも云い、芽吹きから落葉季まで葉色の変化が愉しい樹です。一点、カミキリムシが好み易いので注意が必要です。
5m級~:7万円~
【観察適地】名大四谷通3から西への街路樹、愛知県緑化センター
ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)
 5月に雪を被った様に真っ白な花が咲きます。今ではあちこちで生産されてはいますが、元々は愛知県犬山市ほか国内4ヶ所のみに自生が確認されている希少種です。そのせいかどうかは分かりませんが若干、他の樹木より割高です。 
4m:10万円
【観察適地】愛知県緑化センター

 
シデコブシ
普通のシデコブシは微かに桃色掛かっているのですが、写真はおそらく改良種かと思います。モクレン科の仲間ですがモクレンより若干、生長が早い様に感じます。このシデコブシは花弁がやや細くて波状になっているからか、風に吹かれるとひらひらと舞う様に見えます。そんなところから何となく女性らしい印象を持つ方が多い様です。
3m級:3万円~ 
【観察適地】愛知県緑化センター
アズキナシ
 物流量は多くないものの、知っている人は知っている密かな人気の雑木です。バラ科ナナカマド属ですのであまり暑い場所には不向きです。が、ナナカマドほど弱くはなく西日だけ配慮できれば日陰でも育ちます。人気の理由はコデマリの様な白の可愛い花と秋の赤い実です。写真をご覧の通り萌芽力が強く、よく分枝しますので剪定にもよく耐えるのですが木、一本一本の個体差が大きく、良い樹姿にするには感性とテクニックを要します。 3m:6万円
【観察適地】愛知県緑化センター
アズキナシ 
 これも高く伸びたアズキナシですが、下枝を自ら落として生長している自然樹と云っても良いでしょう。軽井沢や高山のせせらぎ街道界隈を散策すればこれくらいの樹が自生して林を構成しています。数本まとめて庭の一角を占めれば擬似林として表現出来ます。
7m:8万円
ユリノキ (ハンテンボク) 
 モクレン科ユリノキ属です。モクレン同様、移植の際の根切りに弱く、ある程度の大きいモノの移植は根廻し必須です。特長は何といってもその葉形で、遠くからでもユリノキだと解かります。あとモクレン同様、芳香のある淡黄色の花です。下の写真は園芸品種オーレア・マギナータですが、葉と花弁に班が入っています。もし貴方が園芸好きで、どこかでこの苗を見つけたのなら、まだかなり希少種ですので入手しておくといいと思います。
【観察適地】愛知県緑化センター
マグノリアリリオデンドロン・オーレアマギナータ 
メタセコイヤ 
 一説では裸子植物最古の樹木と云われており、昭和天皇が特に愛でた樹でした。とにかく高く生長する樹ですから一般家庭に植えますとのちに大変な事になりますので候補には入れないで下さい。公園やテーマパークで鑑賞する樹です。
【観察適地】愛知県緑化センター
モリコロパーク(元愛地球博会場)
 
黒松
 
五葉松(八ツ房)